住民健康講座

住民健康講座要旨

第203回平成26年12月11日(木)『歯ぎしり、くいしばりの影響とは』
  • 場所津市久居公民館
    津市久居元町2354
  • 講師かとうデンタルクリニック
    歯科医師 加藤剛史先生 
  • 講演要旨歯ぎしり、食いしばりについてのお話です。
    実はいろいろなトラブルのもとになるってご存知ですか?
    今回はお時間をいただきましたので、その問題点についてお話したいと思います。

    (歯ぎしりとは?食いしばりとは?)
    歯ぎしり、食いしばりって一体なんでしょう?どういうものなんでしょうか?
    歯ぎしりとは、就寝中にギリギリと歯をこすり合わせること。
    くいしばりとは就寝中に限らず仕事や家事、勉強中などに歯をグッとくいしばることです。両方とも、無意識に行われているので自覚することはほとんどなく、家族などから指摘されて知ることがほとんどといわれています。

    (歯ぎしり、食いしばりの問題点とは?)
    詰め物が繰り返しとれてしまう?治療した歯が折れてしまう?そんな経験したことありませんか?もしかしたらそれは、無意識に続けている歯ぎしりや食いしばりなどが影響している可能性があるのかもしれません。こうした行為が歯を摩耗させたり、治療した歯を壊したりするってことご存知でしたか?
    噛みしめてなんかいないよって方でも、くちびるを閉じてなにもしていない時に上下の歯が触っていませんか?上下の歯を合わせっぱなしにしていると、かみ合わせに違和感がでたり、歯を痛めてダメージを与えたりしてしまうことがありますよ。

    (原因)
    何が原因でそのようなことをするのでしょう?歯ぎしりも食いしばりもそのおもな原因はストレスと言われています。ココロのバランスを取り、ストレスを解消するために行う大切な防御反応だとされていますが、ホントのところはどうなのかはわかっていません。

    (引き起こされるトラブルの数々)
    (歯が摩耗する)
    強い力でこすり合わせ続けることで歯が摩耗して減っていきます。徐々に歯は削られて平らになり、エナメル質が失われてついには象牙質がむき出しになります。強い力がかかり続けると力が集中しやすい歯の根元のエナメル質にも細かいひびが入り、その部分のエナメル質がポロポロとはがれ落ちます。象牙質はエナメル質よりも柔らかいため、さらに摩耗しやすく酸にも弱いため虫歯になりやすい状態になり、歯がしみるという現象が起きます。さらにすり減った歯が平らになってしまうので、本来の噛み合わせの位置がわからなくなり、かみ合わせがずれやすくなります。
    (歯が折れる、割れる)
    治療をしていない自分の歯は本来とても丈夫なものです。ところが歯ぎしりや食いしばりによって過剰な力が継続的にかかり続けるとついには歯が折れてしまうことがあります。こうした時ほとんどの歯が抜歯となり歯を失ってしまう原因となります。大きな虫歯の治療のために神経をとってある歯は、健康な歯に比べると弱く割れやすいので特に注意が必要です。
    (治療が壊れた)
    せっかく治療の終わった歯の被せ物が、強い力で揺さぶられると取れたり壊れたりすることもあります。セラミックスの歯などは摩耗してかけてしまうこともあります。神経の治療をしてある歯は、中に金属で芯の棒で補強して被せてあることがあります。この場合大きな力がかかると外側の自分の歯の部分がたわみ、中の芯棒はあまりたわまないのでひびが入りやすく歯が割れやすくなります。
    (歯周病が悪化した)
    歯周病とはプラークのなかに潜む歯周病菌に感染することによって起きる病気。歯ぐきだけでなく、歯を支えている歯根膜やあごの骨(歯槽骨)も炎症によって破壊されるため、進行すると支えが足りなくなって歯はグラグラになり、ついには抜けてしまいます。
    実は歯ぎしりやくいしばりによって過剰な力が加わり歯や歯の周囲の組織が持続的に圧迫されることによって、歯根膜が痛み、歯槽骨もジワジワと失われてしまうのです。すると、歯が動いて歯と歯の隙間が拡がったり、歯が倒れてかみ合わせが変わり噛みにくくなったりといった問題が起きやすくなってしまいます。さらに深刻なのは、歯周病に感染している患者さんが歯ぎしりやくいしばりをしている場合、感染と過剰な力の複合的な作用で症状が悪化してしまいます。こうなると歯周病の治療を行って炎症を取り除いても、治療後の回復が思うように進まなくなってしまいます。
    (顎関節が痛い)
    歯ぎしりやくいしばりをしている時、顎を動かすための筋肉がギュッと収縮します、この動きは本来は食べたり、話したりするときに行うもので持続的に起こることではありません。これが持続的に起こってしまうことで筋肉に疲れが出て痛みが出てくることがあります。さらに、筋肉がギュッと収縮して顎を引き上げてしまうので、顎関節の内側に強い力が加わります。すると顎関節が圧迫されて痛みがでたり、関節の間に挟まっている関節円板がズレて関節のクッションの役割を果たせなくなってしまい、関節からカクカクとかシャリシャリとかジャリジャリといった音がするなど、顎関節症の原因となります。
    (調節しても入れ歯が痛い)
    歯ぎしりやくいしばりをする方で、入れ歯を入れたまま行っている方などもいらっしゃいます。入れ歯をかみ続けるといったことがある方だと、その部分が圧迫されて血行が悪くなりずっと刺激が続くようになると、歯ぐきが疲労して痛みに敏感になってしまいます。この状態で食事をすると、噛む力によってさらに歯ぐきに負担がかかりますから痛みが出やすくなります。さらに、入れ歯をのせている顎の骨の部分が、過剰な力がかかることで吸収してしまい、入れ歯が合わなくなってしまうということもあります。
    (噛み合わせの違和感)
    歯の痛みを訴えて来院した患者さんの歯を調べても、なんの異常もないということがあります。また、大きなむし歯になり、歯根の治療をした後に痛みや違和感が消えないと悩む患者さんのレントゲン写真をみても、治療はうまくいっており病巣が見つからないこともままあります。このような場合、歯の接触グセがある可能性が高いです。歯根膜というのは歯と骨の間にある組織で歯が接触していることを感じ取る感度の高いセンサーの役割もしています。この部分が常に圧迫されていると血流が邪魔され、常に刺激が与えられることで歯根膜が興奮状態に陥ります。この状態が継続するようになると、正常にかんでいても強く当たっているように感じてしまうようになり、痛いとか違和感とかということにつながります。すると、うまく噛めなくなるので本来の位置ではないところで噛もうとして噛み合わせの位置がずれてしまうという悪循環に陥ってしまいます。

    (こんな人は要注意?)
    お口の中にこのような痕跡はないですか?
    このような痕跡のある方は注意が必要かもしれません。
    ・歯のエナメル質が部分的にはがれ、着色している(楔状欠損)
    ・歯のかみ合う面が摩耗して減っている
    ・前歯が溝状にへこんでいる
    ・奥歯の金属に筋状の傷がついている
    ・詰め物がよく取れる
    ・詰め物やかぶせ物の周りに虫歯がよくできる
    ・ブリッジが壊れやすく、歯が折れてしまう。
    ・かぶせ物をかんだ時の高さが気になってしまう。
    ・歯が折れたことがある
    ・頬の内側の粘膜や舌の周辺に歯の跡がついている
    ・肩こりがひどい
    ・頭痛がすることが多い
    ・むし歯でもないのに歯がしみることがある
    ・ストレスがたまりやすい
    ・朝起きたときに、口の周囲にこわばりがある

    どうですか? 気になるところがあれば、一度歯科で相談してもらうことをおススメします。

    (力をコントロールするために。。。)
    (意識すること)
    一番大切なのは、無意識で行われていることを意識すること。つまりどんな時にしているのかをいうことを認識することです。
    上下の歯はいつもかみ合っているのが普通ではありません。基本的に話すとき、食べるとき以外は離れているものなので、一日15~20分くらいしかぐっと噛んでる時間はないといわれているのです。それ以上噛んでいる人はトラブルが起こりやすくなります。
    くいしばっているなと思ったら、その状況のメモを取っておきましょう。意外としているかもしれません。無意識でしている癖がわかれば、日常生活で気をつけるポイントがわかりますからコントロールしやすくなります。

    (スプリントで歯ぎしりの被害を食い止める)
    歯科医院では、スプリントという就寝時に着けていただき被害を事前に減らしていくという方法をとることができます。歯やあごが痛む、治療が壊れるといったトラブルは、歯やあご、治療の耐久性を超える強い力がかかった時に生じますので、そこにくわわる力を軽減させてトラブルを減らすという考え方にもとづくものです。

    (他の方法について)
    日中にくいしばったり、歯ぎしりをしたり。原因は生活の中で感じているストレスです。本当は生活自体をストレスがないようにすればいいのですが、そんなわけにはいきませんので、自己暗示を用いた方法もありますので紹介しておきます。
    歯ぎしりやくいしばりのないリラックスした状態の心地よさをイメージしてもらうこと。やめることを頑張るということはしないでください。かえって疲労してしまうかもしれません。起きているときは、ふとしたときにリラックスするきっかけになるように、メモにリラックスなどと書いて目につくところに貼っておきましょう。それを目にしたときに深呼吸して力を抜くようにします。寝る前は、深呼吸してさわやかに気持ちよく目覚める状態をイメージしてみましょう。そうすることで脳が気持ちの良い状態を認識しますので、慣れてくると効果が期待できます。

    (まとめ)
    歯ぎしりやくいしばりの強い力は、知らず知らずのうちに歯やあごに大きな影響を与えてしまいます。もし心当たりがあるなら、ちょっと気をつけていただくと良いかもしれません。歯を大事に、健康的に過ごすことができると思います。

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