住民健康講座

住民健康講座要旨

第210回平成27年4月9日(木)『逆流性食道炎とピロリ菌について』
  • 場所津市久居公民館
    津市久居元町2354
  • 講師英(はなぶさ)クリニック
    院長 佐々木英人先生
  • 講演要旨まず、逆流性食道炎とは強い酸性の胃液や胃で消化途中の食物が食道に逆流して、食道の炎症がおこり、粘膜がただれてびらんや食道漬傷を生じる病気のことです。
    症状は胃液や胃内容物が食道に逆流するので、胸のあたりに焼けるような感じがする胸やけがおこります。また酸っぱい液が口まで上がってきてゲップが出て呑酸症状が現れ、吐いてしまうこともあります。胸がしめつけられるような症状は、心臓の狭心症の症状と似ています。また、逆流した胃液がのどや気管支を刺激したり、食道の粘膜から神経を刺激して咳や喘息が起こることがあります。胃液は食物を消化するため強い酸性の胃酸や消化酵素を含んでおり、強い刺激性があります。食道が強い胃液で傷つかないよう、胃液が食道に逆流しないように、下部食道括約筋が働いています。
    逆流性食道炎の原因の胃液や胃内容物の逆流は、食事内容、肥満加齢、姿勢などにより、下部食道括約筋などの食道を逆流からまもる仕組みが弱まったり、胃酸がふえすぎることで起こります。脂肪の摂りすぎや食べ過ぎにより食道括約筋がゆるみ、胃液が逆流します。年をとると食道括約筋の働きが悪くなります。背中の曲がった人はおなかが圧迫され胃の圧力が高くなるため胃液が逆流しやすくなります。
    逆流性食道炎の検査は、胃内視鏡を口か鼻から入れて食道の粘膜の状態を観察します。
    なぜ治療が必要かと言いますと、胸やけなどの症状は不快で、現在逆流性食道炎にたいへん効果のある薬があり、こうした薬で症状をなくすことができます。またバレット食道や食道癌などの発症予防につながります。睡眠障害の治療にもなります。治療法は食事、姿勢、服装などの生活習慣をかえることと薬による治療です。最近の新しいプロトンポンプ阻害薬はたいへん効果があり症状はすぐに消失します。しかし胃から食道への逆流を根本的になおすことができないため、長期間薬を飲み続ける維持療法も行われています。
    続いてヘリコバクターピロリ菌について述べます。
    およそ32年前に発見されたヘリコバクターピロリ菌とは、くるくるまわるひもを持った、胃の出口(幽門部)に住む細菌と言う意味です。
    ヘリコバクターピロリ菌は自分で発生させるアンモニアでできた服を着ている為、強い胃酸のなかで死なないで生きています。
    多くが1才から5才までに感染します。感染経路は経口感染で、井戸水、便、嘔吐物、感染した親から子供への口移しなどでも感染するといわれています。
    世界中でも日本人の感染がとくに多く40才以上は80%の感染率があります。日本人全体で約3500万人と言われています。(オランダやイタリア、イギリス、アメリカなどは50%の感染率です。)30才以下の若い世代では衛生環境の改善により減少していくと言われています。
    ピロリ菌に感染すると、全員がヘリコバクターピロリ感染胃炎を起こします。日本などの東アジアのピロリ菌は胃癌発生に関連する超悪玉のピロリ菌が多いと言われています。胃マルトリンパ腫とは悪性リンパ腫の一つで、ピロリ菌の除菌で60-80%改善すると言われています。
    胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんの約90%がピロリ菌に感染しています。ピロリ菌がいる場合、潰瘍が一度治癒しても、1年後には60%以上が再発してしまいます。このように潰瘍の再発を繰り返す患者さんは、ピロリ菌を除菌することにより、潰瘍の再発率は著しく低下しています。
    胃内視鏡の検査を行うと、ピロリ菌に感染していますと胃萎縮、点状発赤、びまん性発赤、胃壁肥厚などがみられます。また鶏の皮膚のような鳥肌胃炎やコレステロールが沈着した黄色腫や汚い粘液の付着がみられます。また胃液がにごったり、胃全体の発赤がみられたり、粘膜の浮腫や胃壁が薄く萎縮して血管がよくみえるようになります。
    ピロリ菌の感染は胃癌との関連が重要視されています。たとえば、ピロリ菌感染者と非感染者を10年間観察したところ、感染している人では2.9%に胃癌が発生したのに、感染していない人では胃癌が発生しなかったとの報告があります。
    とにかく大切なことは、胃が痛かったり、ゲップや胸焼けがあったら、消化器内科を受診して一度胃カメラを受けることです。毎年会社の検診でバリウムの胃検査をしているから胃カメラはしないと言う患者さんもみえますが、バリウム検査では、胃カメラでみてわかる早期の胃癌はみつけられませんし、逆流性食道炎の診断や食道癌診断もできません。ましてや今回お話ししました胃癌の原因になると言われている、ヘリコバクターピロリ菌の精密検査はできません。胃カメラはしんどい、えらいと言う患者さんは多いのですが、よく訓練された専門医なら5分程度ですべて完了できますので、胃に不安を感じている方は、是非胃内視鏡を受けられるようおすすめします。
    口から鼻から挿入した胃内視鏡で胃内をしっかり観察してもらい、胃癌など異常な疾患がないか、ヘリコバクターピロリ菌に感染していないか、こわい逆流性食道炎になっていないかなどの検査を受ける事が、あなたやあなたの家族の健康を守るいま一番の方法になると思います。
    以上です。みんなでピロリ菌を退治しましょう。
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