住民健康講座

住民健康講座要旨

第211回平成27年5月14日(木)『知っておきたい糖尿病治療のポイント』
  • 場所津市久居公民館
    津市久居元町2354
  • 講師白山内科
    院長 白山 究先生
  • 講演要旨2012年の糖尿病患者数は950万人(1960年20万人)、糖尿病予備軍の人数は1320万人との報告がされています。合わせると2270万人の人が糖尿病患者さんか予備軍です。糖尿病の患者さんの数はここ50年で50倍に増加したことになります。この原因としては食生活の欧米化、交通機関の発展とともに運動不足などが考えられます。ただ糖尿病患者さんの増加率は2012年で初めて抑制がかかりました。これは平成20年から始まった特定健診の効果が考えられます。
    日本人の2型糖尿病の特徴としては欧米人のそれと比べてインスリンの分泌反応が低いことです。狩猟民族の欧米人と異なり、日本人では農耕民族であり乳脂肪分をあまり摂取しないのでインスリンの分泌が少なくてすんだと考えられます。
    正常人の24時間の血糖の推移を見ると70mg/dlから130mg/dlの間で維持されています。ですから食事後採血で180mg/dlであれば正常とはいえず一度精密検査を受ける必要があります。
    次は糖尿病の治療を行った時に血糖値をどの位まで下げたらよいかです。2013年に熊本で行われた糖尿病学会年次総会において勧告された目標値は、合併症を来さないためにはHbA1C7.0%未満です。さらに頑張れる人は6.0%未満を目指します。低血糖の危険性があり治療の強化が困難な場合には8.0未満を目指します。血糖値で示しますとHbA1C7.0%未満は空腹時血糖値では130mg/dl未満、2時間値では180mg/dl未満がおおよその目安となります。
    HbA1Cは採血を行った日より6週間前の血糖の平均値を示します。平均を示すのであって1日の血糖の変動幅を示す指標ではありません。1日を変動幅が大きいか、それとも小幅かを示す指標は1・5AGです。これは採血を行った日から3~4日前までの24時間血糖値の変動を示しています。正常は14μg/mlで、血糖の変動が大きいほど低下します。15AGが14以上でHbA1C7%未満ですと血糖の平均も良好でまた一日の変動も小幅だということになります。HbA1Cが7%未満で15AGが10μg/ml以下だと食後の血糖値が高く食後血糖を下げる必要があります。HbA1Cが7%以上で15AGが10以上でだと主に空腹時血糖を下げる必要があります。HbA1C7%以上で15AGも10以下ですと空腹時血糖、食後の血糖をともに下げる必要があります。
    最近、食後の血糖値のコントロールの重要性をいわれることが多くなってきました。食後の血糖値が高いと血管の内皮細胞が障害を受けやすく、動脈硬化を生じ血栓ができやすくなります。食後血糖が高いと心筋梗塞、脳梗塞のリスクは2倍増します。
    動脈硬化性病変の評価には頚動脈のエコーを用います。頚動脈の中内膜の厚さが1mmを超えると厚いと評価します。また壁にプラークを認めたら安全な繊維性のプラークか、リスクのあるアテローム性プラークかを判別します。糖尿病の患者さんでは30%の方にエコー上の何らかの異常が認められます。血管の動脈硬化の判定に頚動脈エコーを是非受けて下さい。
    治療では食事療法と運動療法が治療の根幹を担います。食事療法は糖尿病と診断された時点で指導されるべきで、患者さんがカロリー計算を出来るようになりますと治療の7割は成功したと言ってもいいでしょう。食事療法がいい加減でお薬を服薬している方が非常に多いです。食事療法、運動療法を行っても血糖コントロールが改善しないときに薬物療法を行います。
    経口血糖降下剤ではここ10年で数多くの作用機序の異なる薬剤が開発され使用されています。作用機序でみてみると、膵臓に働いてインスリンを分泌を促す薬剤のうちで主に食後の高血糖を改善する薬剤にはグリニド、DPP4-阻害剤があげられ、また主に空腹時の高血糖を改善する薬剤にはスルフォニル尿素剤があります。インスリンの分泌を促さない薬剤のうちで食後の高血糖を改善させるはαグルコシダーゼ阻害剤です。食前の血糖を改善するのがビグアナイド薬です。
    ご自身の服薬している薬剤をもう一度確かめ、今現在の血糖値が悪ければ食後の血糖改善が必要なのか、それとも食前の血糖改善が必要なのかを考えるのが重要です。その結果として選択する薬剤も異なって来ます。
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