住民健康講座

住民健康講座要旨

第215回平成27年10月8日(木)『高血圧症について』
  • 場所津市白山市民会館 津市白山町川口892
  • 講師三重県立一志病院 医師 鶴田真三 先生
  • 講演要旨我が国の高血圧者は約4300万人と言われています。実に3人に1人が高血圧ということになります。そのうち約半数が治療不十分と推定されており、また、現在も高血圧患者数は増加傾向にあると考えられています。では、なぜ、高血圧を治療しなくてはいけないのでしょうか。実は、高血圧治療中の患者の50%しか、治療の目的を認識していないという報告もあります。<br />高血圧治療の最大の目的は、「心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)の予防」→「健康寿命を延ばすこと」です。<br /><br />○血圧管理<br />血圧は一日の中でも常に変動します。寝ている時は低く、覚醒すると上昇する傾向にあります。いろいろな生活動作によっても血圧は上がったり下がったりします。そのため、一度測った血圧の値で一喜一憂する必要はありません。継続的な血圧の観察が必要です。<br />降圧目標には、診察室血圧(病院で測る血圧)と家庭血圧(自宅で測る血圧)により、違った目標値が設定されています。そして、診察室血圧より、家庭血圧による血圧管理がより重要とされています。これは、高血圧ガイドライン2014ではっきりと明記されています。家庭血圧値と心血管病発症および生命予後に関する科学的なデータが集積されているためです。<br /><br />○家庭血圧<br />家庭血圧は、1-2分の間隔をあけて少なくとも2回測定し、この2回の測定値が大きく異なっている場合には追加測定を行うことが推奨されています。測定した値は、血圧手帳に記入し、受診の際に主治医に見せてください。また、家庭血圧計については、手首や指で測るタイプのものよりも上腕(二の腕)で測定する方がより正確なため、推奨されます。<br />血圧測定は、朝であれば起床後1時間以内、排尿後、朝の内服前、朝食前、しゃべらずに座って1-2分安静にした後に測るようにしましょう。それ以外の時間帯や条件などについては、主治医の指示にしたがってください。<br />また、細かなことまで記述しましたが、詳細まで厳密にこだわって測定するより、気軽に血圧を測定して記録する習慣をつけることが、手間にならず、逆にこだわりすぎて不安にもかられず、長続きできると思います。<br /><br />○治療<br /> 高血圧の治療は、効果を実感しにくく自分自身の管理意識が低くなるため、継続的な内服や血圧測定等が疎かになりがちです。逆に、自分で測定した血圧が少しでも高いと不安にかられ、目標血圧まで下げないと気が済まないという方もいます。長く血圧管理・治療を続けるためには、「心血管疾患の予防」という治療目的を明確にして、血圧管理を行うことが大切です。ここでは、内服薬以外の治療方法を記述します。降圧薬による治療については、主治医の指示にしたがってください。<br />1,減塩<br />目標は一日6g未満、Naで換算すると一日2.4g未満です。減塩に心がけましょう。<br />2,食塩以外の栄養素<br />K,Ca,Mg,ω3多価不飽和脂肪酸等が降圧効果があると考えられています。野菜・果物の摂取が勧められますが、腎障害患者での野菜・果物摂取や糖尿病や肥満がある方の果物による糖分過剰摂取には注意が必要です。バランスのいい食事摂取を心がけましょう。<br />3,減量<br />肥満患者では4-5kgの減量で高血圧の改善に効果が得られます。BMI25以下を維持することが目標です。また、同程度のBMIでも内臓脂肪が多い人ほど血圧が高いと考えられています。<br />4,運動<br />中等度の強度の有酸素運動を継続することが勧められます。毎日30分以上を目標に行い、通勤や家事,買い物等の生活の中での運動に重点を置きます。高血圧のない人とちがい、短距離走等の運動強度が強い運動は推奨されません。<br />5,節酒<br />エタノール換算で男性20-30ml/day以下,女性で10-20ml/day以下に制限すべきとされています。少量の飲酒の健康効果については結論が出ていません。具体的には、ビールなら1日に中びん1本(500mL)まで、焼酎なら半合弱(100mL)が目安です。また、肝疾患などがある方は、この範疇ではありませんので、主治医の先生の指示にしたがってください。<br />6,禁煙<br />一過性の血圧上昇を引き起こすことが分かっていますが、慢性的な血圧への影響の評価は確立されていません。しかし、喫煙は心血管疾患の強力な危険因子であるため、やはり禁煙は勧められます。
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