子どもの健康

学校保健

2016.09.13第11回学校保健研修会(8月25日開催)講演要旨

第11回学校保健研修会
○開催日時:平成28年8月25日(木) 15:30~17:00
○開催場所:久居一志地区医師会館
○講 演:『子どもの生活習慣病』
          独立行政法人 国立病院機構 三重病院 貝沼圭吾 先生
○講演要旨:
 小児肥満診療における現状報告として、県内における小中学校の健康診査の結果を基にした地域別、年齢別にした肥満児の割合について述べた。三重県においては小中学生の肥満度20%を超える肥満に当たる児童は全体で6.87%(男児7.45%、女児6.27%)となっており、全国平均を下回る結果となっている。地域別に見てみると、東紀州、伊賀地区において、ややほかの地区に比べると肥満児割合が高くなっている傾向が認められた(スライド①)。年代的には男女ともに小学校高学年で最も高い割合となっているが、中学校へ入学後、減少している傾向がある。これは中学校入学後、男児では運動部へ入る割合が多いこと、女児ではボディイメージに対する意識変容などがあるものと考えられる。また小児肥満診療においては、成長曲線・肥満度曲線を適切につけていくことが、児の生活状況を反映する一つの指標にもなりうるので、養護の先生方にはご尽力いただく必要があるもののなにとぞよろしくお願いしたいと存じます。
次に当院における肥満診療についての現状報告を行った。当院では昨年度までの集計で66名の肥満児童診療を継続的に行っている。肥満の存在には生活習慣だけでなく、児の社会的環境や発達に関連があるように考えられた。小児メタボリックシンドロームの観点では、肥満度50%を超える高度肥満児においては、脂肪肝、高血圧、脂質代謝異常、高尿酸血症といった問題のいずれかが生じている場合が多く、さらに4名に1人は2型糖尿病を発症していることが明らかになった(スライド②)。そうした点も鑑み、診療では肥満度50%を超える児童や肥満度によらずすでにメタボリスクを有している児には積極的に入院による生活スタイルの是正を勧め、また両親の状況などを含めた社会的背景から自宅での減量が困難と考えられる時についても入院を勧めている。学校関係者が病院受診を勧奨する一つの基準として、『4年生40%』という数字を念頭においていただき、本人またはご家族にお話しいただければよいかと感じている。入院と外来とでの体重減少を比べてみると、当然の結果ではあるが明らかに入院の方が肥満度減少を認めている(スライド③)。
三重病院での肥満診療において、特に力を入れている点が多職種連携である。看護師、栄養士、理学療法士、児童指導員と連携を取りながら、それぞれの職種の特長を生かした指導を時に行うように心がけている。また併設されている緑ヶ丘特別支援学校の教員とも日々ディスカッションを行うことで、児の心身両面の理解を促進し、共通の治療目標をもって取り組むようにしている。またこうした取り組みが、夏に開催される肥満児を対象としたヘルシーキャンプや春に開催している市民公開講座にも良い効果を生み出し、県下における肥満児の受診への足掛かりの場としてそのニーズが高まっている。
また医療という点からは、小児における内臓脂肪量の測定に力を入れており、これまでにも内臓脂肪量が多い児ほど小児メタボリックシンドロームのリスクが高まることを説明した。特に当院では放射線被曝のないDUALSCAN®というインピーダンスを用いた内臓脂肪測定装置を有しており、児の治療意欲を上げる手段の一つとして役立っている。
以上簡単ではありますが、今回の講演の概説とさせていただきます。

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