住民健康講座

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平成29年11月9日(木)第236回『熊本地震での活動と災害に備えた薬の管理』

場所津市久居ふるさと文学館
津市久居東鷹跡町2-3
講師一般社団法人三重県薬剤師会会営
久居調剤薬局
管理薬剤師 小林竜也先生
講演要旨熊本県で平成28年4月14日に前震、4月16日に本震が起き、どちらも震度7というとても大きな地震が起きました。余震がとても多く、4月14日から16日の3日間で震度6弱以上が7回、震度4以上が69回も起きました。今まで前例のない地震で、被害も大きかったため、日本薬剤師会から派遣薬剤師の募集があり、三重県薬剤師会から4名が南阿蘇村に4月25日~5月1日の期間、支援活動を行ってきました。
主な活動内容はモバイルファーマシーでの調剤と服薬指導、お薬相談、避難所である南阿蘇中学校体育館内の湿度、温度、二酸化炭素濃度の測定をして報告しておりました。また、モバイルファーマシーで使用できる医薬品リストを毎日更新し、配布しておりました。モバイルファーマシーとは薬局機能を搭載した機動力のある災害対策医薬品供給車両です。東日本大震災後、宮城県薬剤師会が開発し、現在、宮城県、大分県、和歌山県、広島県、鳥取県、八千代市の薬剤師会が所有しております。三重県薬剤師会も今年度導入される予定です。
モバイルファーマシーには調剤棚、自動分割分包機、電子天秤、水剤調剤用シンク、電気冷蔵庫、トイレ、シャワー、バンクベッド、ポータブル発電機、ソーラーパネル、衛星携帯電話、携帯型デジタル簡易無線機、ディープサイクルバッテリー、水タンク等を搭載しており、電力や水の途絶えた被災地でも自立的に調剤作業と医薬品の交付が行えます。キャンピングカーを改造した車両で、乗車定員は3名、燃料は軽油、燃費は約9km/?程度で普通免許で容易に運転できます。今回の熊本地震でモバイルファーマシーの評価は非常に高く、今後、全国的に導入されていけば、災害時にとても心強いものになると思います。
災害に備えた薬の管理としては、普段から1週間程度の予備は持っておくとよいでしょう。災害時だけでなく、急に受診予約日に病院に行けなくなった時にも役に立つからです。お薬手帳は保険証と一緒に持ち歩くようにしましょう。災害時には保険証より大切な情報になります。そして、自分が飲んでいる薬の名前はできる限り覚えて言えるようにしておきましょう。あと最新の薬剤情報提供書を非難袋に入れておいたり、現在飲んでいる薬の一覧のメモを財布に入れておいたり、携帯のカメラ機能を使って薬の写真を撮って保存しておいたりして、二重、三重に薬の情報を管理しておくと安心です。電子お薬手帳というものもあって、スマートフォンをお持ちの方は専用のアプリをインストールして電子お薬手帳に対応している薬局で利用することができます。
災害はいつ起きるかわからないので、普段からの備えが大切です。