住民健康講座

過去の住⺠健康講座要旨

令和5年3月9日(木)第263回『健康寿命を伸ばそう!いつまでも生き生きと過ごすために~』

場所津市久居アルスプラザ
津市久居東鷹跡町246
講師藤田医科大学七栗記念病院
理学療法士 蔵田祐一先生
講演要旨【高齢化と健康寿命】
全国の高齢化率は28.4%といわれていますが三重県は29.8%とやや全国水準よりも高くなっており、その問題は深刻さを増しています。平均寿命とは「0歳における平均余命」を指しています。例年延びている傾向にあり、令和3年度の統計では90歳を迎える者の割合は男性の3割、また女性の半数は90歳を迎えているのが実情です。100歳を超える人口は全国で9万人に達しております。一方で健康寿命という考え方がございます。平均寿命―健康寿命は健康に生活できない期間を意味しており、いつまでもイキイキと自分らしい生き方をすることが、健康寿命を延ばしその差を短くすることに繋がってきます。

【加齢による身体の変化】
 全身の筋力との相関関係にある握力や膝伸展筋力は80歳代になると20歳の頃と比較し、半減するといわれています。加齢による筋肉量の減少をサルコペニアといい、地域の高齢者の15%を占めているといわれております。また、加齢による身体機能の低下は、高齢者になってから始まるものではなく、60歳からも持久力の低下が著しいといわれております。姿勢の変化の特徴は、視線は下方を向き、やや前かがみ、つま先は上がりにくく躓きやすくなり、地面の蹴りだしも少なくなることから歩くスピードも低下してきます。このように、姿勢、身体機能が低下し、要介護状態になり得る以前の虚弱状態を「フレイル」といいます。身体的なことはもちろん、精神的・社会的にフレイル予防が求められます。

【フレイル・サルコペニア対策について】
 昨今、健康に向けて様々な情報が飛び交っておりますが、必ず重要なことは①体力測定などで今の自分を知ること、②現在行っている運動や日常生活を把握することです。地域で開催されている介護予防教室に足を運んでみることもいい機会かと思われます。トレーニングの三原則、腹筋・大腿四頭筋、大殿筋、下腿三頭筋など主要な筋肉について、レシピを含めたたんぱく質の取り方についてプラス・テン(+10)での身体活動、歩数の目標について、運動時の脈拍の目安について具体的にお話しさせていただきました。

【健康寿命を延ばす取り組みや考え方】
「健康な生活を送れる寿命を延長させる」ことですから運動や活動をより長く、継続していく必要があります。運動や活動が自分の身体に重要なことは、誰しもが思っていることです。個人で行うのであれば、自分に合った時間帯を決めてみる、カレンダーに行った日のチェックを書いてみる、続けられる運動から始めてみるなど様々な工夫があります。一方で、一人で継続することが難しい場合もあることかと思います。一緒に行う仲間を作り、体操以外にも様々なことに参加し、住民ならではの発想で交流を深めて、土台作りをすることも有効かもしれません。兵庫県本巣市いきいき百歳体操参加者134名のアンケート調査では、一緒に参加する仲間ができた、出かける等生活の楽しみが増えた、人と接するのが億劫でなくなった、などの意見が上がっております。地域での活動が億劫な場合には、身近な家族を巻き込んでみることからはじめてみませんか。さいごに今一度自身のセカンドライフを見つめなおし、健康寿命を延ばしていきましょう。