住民健康講座

過去の住⺠健康講座要旨

令和7年4月10日(木)第284回『健康な腎臓、不健康な腎臓』

場所津市久居アルスプラザ アートスペース
津市久居東鷹跡町246
※満席の場合、ご入場をお断りいたしますので、予めご了承ください。
講師津みなみクリニック
理事長 伊與田義信先生
【できましたら、それぞれ御自身の血液検査の結果の用紙を持参して下さい。】
講演要旨 4月10日(木)、春爛漫、快晴で満開の桜が咲き誇る中、アルスプラザで住民健康講座の講演をさせていただきました。内容は、慢性腎臓病(CKD)について、腎臓が悪くなるとどのような症状が出るか、大切な腎臓を守るためには何に注意して生活をしなければならないか。また、腎臓病の最終段階の透析についてお話しさせていただきました。以下、講演の内容の要約です。
 まず、腎臓が悪くなると様々な症状が出ますが、代表的に5つの症状が出ます。「むくみ」「尿の異常」「全身の痒み」「口の臭い」「貧血」です。まず、「むくみ」です。浮腫とも呼ばれますが、手や足や顔が腫れる感じがする症状です。むくみは腎臓の機能低下によって体内にナトリウムと水分が蓄積され発生します。ナトリウムとは食塩の成分です。
 2番目に「尿」の色やにおいの変化が見られます。血尿が見られたり異常な臭いがする場合腎臓の問題で血液やタンパク質が尿中にもれでている場合があります。3番目に「痒み」です腎機能低下によって体内のミネラルバランスが崩れ、皮膚の乾燥や痒みを引き起こすことがあります。4番目に口の中の異常です。尿毒素が体内に蓄積し始めると口の中の乾燥、口内炎、金属味を感じることがあります。最後の5番目の症状は、「貧血」です。正常な腎臓は赤血球の生成を促進する働きがありますが、衰えると血液が減り濃度が薄くなります。貧血を起こし疲れやすくなり、疲労感や息切れが生じます。これら5つの症状がある方は、腎臓が悪いかもしれません、一度を腎臓のチェックをすることをお勧めします。
 血液検査で「腎機能」は、血液検査でクレアチニンとeGFRという2つの項目で確認します。クレアチニン1以下、eGFR60以上の腎臓が健康な方だと思います。残念ながら、クレアチニン1を超えたり、eGFRが60未満の方は、慢性腎臓病ということになります。そしてもっと腎臓が更に悪くなりクレアチニンが5以上、または、eGFRが10以下になると末期腎不全という状態で人工透析治療を受けないといけません。
 腎機能が心配な方は、かかりつけの先生に相談するか、腎臓内科への受診をお勧めします。
 高血圧は、腎臓に強い悪影響を与えます。自宅での血圧測定は、腎臓病の管理にとても役に立ちます。できれば、今日から自宅での血圧測定を行い血圧手帳かノートに記載する習慣をつけましょう。つけた血圧はかかりつけの先生に診てもらいましょう。
腎臓病の最終段階は透析です。現在、日本では34万人以上が透析治療を受けています。透析には一般的に悪いイメージがあります。「食事制限がつらそう」「旅行に行けなくなる」「治療は痛い」「仕事が続けられない」などあまり良くないイメージを持っている方が多いと思います。しかし、透析治療の進歩は目覚ましく、実際の透析治療を受けている患者さんは、食事制限それほど厳しいものではありません。注意すれば一般の方とほぼ同じ食事をすることも可能です。旅行もできます。透析治療は痛い治療ではありません。仕事も重労働でなければ、ほとんどの人は透析前と同じ仕事をされています。
 腎臓は、お母さんのように人の体を毎日掃除している目立たないですが大切な臓器です。皆さん、腎臓をいたわり豊かで快適な生活をお過ごしください。