住民健康講座

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令和8年7月9日(木)第297回『最近、むせやすくなっていませんか? ~お口の衰えと健康の深い関係~』

場所津市久居アルスプラザ アートスペース
津市久居東鷹跡町246
※満席の場合、ご入場をお断りいたしますので、予めご了承ください。
講師 津歯科医師会/
坪井歯科医院 
院長 坪井寿典先生
講演要旨次のような変化が気になっている方はいらっしゃいませんか?
● 食事中にむせることが増えた気がする
● 口が乾きやすくなった
● 硬い食べ物を避けるようになった
● 食べるのに時間がかかるようになった
● 以前より滑舌が悪くなったと言われる
● 食事量が自然と減ってきた
どれもよくあることに映るかもしれません。「歳のせいかな」と、軽く流してしまう程度の変化でしょう。しかし、もし一つでも心当たりがあるなら、それを「大したことではない」と見過ごしてはいけません。
なぜなら、重大なリスクの入り口かもしれないからです。
そのリスクとは、誤嚥性肺炎です。
誤嚥性肺炎で命を落とす人は年間6万人以上。単純計算でも、1日に100人以上が亡くなっています。高齢者の死因としても、常に上位にあがる病気です。
つまりこれは、特別な人だけの問題ではないということ。
すぐ隣にあり、気付かぬうちに進行し、最終的には命を奪う。とても身近で、静かに忍び寄る恐ろしい病気なのです。
ただし、誤嚥性肺炎は、ある日突然起こるものではありません。
その前段階として、「喉の衰え」があり、ゆっくり、ゆっくりと進行していきます。
飲み込みにくくなる。咽せやすくなる。
こうした状態は、「摂食嚥下障害」と呼ばれます。
その結果、本来は食道へ送られるべき唾液や食べ物が気管に入り込み、やがて肺で炎症を起こしてしまう。
これが誤嚥性肺炎です。
だからこそ重要なのは、「ちょっと調子が悪い」と感じる段階で、きちんと対策を始めることです。
対策として、お食事前、わずか数分間、喉が動かしやすくなる体操をご紹介しました。
①もも裏ストレッチ
②腕組みストレッチ
③肩甲骨ストレッチ
④舌骨上筋トレーニング
⑤唾液押し出し法
そして、正しい姿勢が重要であることも忘れてはなりません。ポイントは、
①背筋をまっすぐ ②足裏をしっかり床につける ③顎を軽く引く です。
また、よく噛んで食べること、一口量を詰め込みすぎないこと、集中すること
も大事なポイントです。
お口の機能のちょっとした衰えのことを、オーラルフレイルといいます。文頭に示したような変化が気になる方は、ひょっとするとオーラルフレイルや、口腔機能低下症かもしれません。これらを放置すると、
食事量の減少→栄養の偏り→タンパク質やエネルギー不足→筋肉量の減少→舌や喉、呼吸に関わる筋肉が弱る→さらに飲み込みが悪くなる
という負のスパイラルに陥ってしまいます。そうならないためにも、普段から予防を意識することが大切です。大切なのは、「大きな症状が出てから対処する」のではなく、「小さな変化の段階で手を打つ」ことです。
歯科の受診は
「歯が痛くなってから」ではなく、
「食べにくくなった時」に行ってください。

オーラルフレイル予防は、口を守るだけの取り組みではありません。
食事を楽しみ、人と話し、体力を保ち、要介護状態を遠ざける。そんな全身の健康を守る第一歩になりうるのです。
今日の食事、今日の会話、今日の姿勢。その一つ一つが、将来の健康につながっていることを意識することが、何よりの予防になると考えましょう。
食べることは、生きることそのものです。好きなものを食べ、家族や友人と会話をしながら食事をする時間は、体だけでなく心の健康にも深く関わっています。
咽せやすさを感じている方、家族の食事が少し心配になってきた方。
誤嚥性肺炎を防ぎ、「食べる安心」を支えられる方法を実践していきましょう!