住民健康講座

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平成28年10月13日(木)第225回『認知症のリハビリテーション』

場所津市白山市民会館
 津市白山町川口892
講師七栗記念病院 リハビリテーション部主任
作業療法士 渡邉 誠 先生
講演要旨1.認知症とは
 認知症は「通常、慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習、言語、判断など多数の高次大脳機能の障害からなる症候群」(ICD-10)つまり、物忘れ、日付が分からない、うまく話せないなど多数の症候からなります。認知症の有病者数は約439万人で全国65歳以上の高齢者の認知症有病率推定値15%からなります。
 認知症は記憶、見当識(日付が分からない)などの中核症状とBPSDと呼ばれる、不安や抑うつなど心理症状と徘徊や暴言・暴力の行動症状からなります。
 認知症で主に問題となるのはこの心理・行動症状になります。
2.認知症の原因疾患とリスク
 認知症の主な疾患は、アルツハイマー病、脳血管型認知症、レビー個体型認知症、前頭側頭型認知症です。この中で、アルツハイマー病は最も多く50%を占める。認知症のリスクは血圧や脳血管病変、うつ病などがある。普段の生活の管理は認知症予防に必要となります。
3.認知症の治療
 認知症の治療は薬物療法と非薬物療法とからなります。薬物療法は、抗認知症薬と漢方薬や抗精神病薬からなるBPSD治療薬からなります。抗認知症薬は各学界でも効果が立証されており、認知症進行を遅らせる効果があるとされています。非薬物療法は、食事療法、運動療法、回想法などがあります。食事療法は、ビタミンや不飽和脂肪酸、植物フラボノイドなどの摂取が良いと言われています。運動療法は、有酸素運動などが良いとされている。国立長寿医療研究センターでは運動と認知課題を組み合わせた「コグニサイズ」と言われる取り組みがなされている。回想法とは、昔の話や道具を使用する療法です。昔の道具を使用した作業回想法という療法も効果があるとされています。
4.認知症のケア
 認知症のケアはパーソンセンタードケアというその人中心のケアが現在の考え方です。いつでもその人らしさを持ち続けさせるのがコツとなります。
5.認知症のリハビリテーション
 認知症は時間とともに進行する疾患です。その時の病状に応じた加入、さらに常に先を見越したリハビリの介入が重要になります。